第128章 誰が差し向けた船

だが、天宮星羅がドアに駆け寄り、ノブに手をかけようとしたその刹那だった。背後から伸びてきた大きな手が、猛烈な力で彼女の手首を鷲掴みにした。

骨が砕けそうなほどの激痛に、星羅は息を呑む。

「逃げるつもりか?」

背後から響く黒崎蓮の声は低く、激昂を孕んだ危険な響きを帯びていた。

彼はもう片方の手をドアに叩きつけ、逃げ場を完全に封じる。星羅は彼と硬いドアの間に閉じ込められてしまった。

必死に抵抗するが、手首を締め上げる力は増すばかりだ。

「放して!」

「薬を塗れと言ったんだ。なぜ逃げる?」

黒崎蓮は強引に彼女を引き戻し、無理やり自分の方を向かせる。その底知れぬ漆黒の瞳には、怒りと、...

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