第143章 罪と罰

病院内。

鼻をつく鋭い消毒液の臭いが、神経を逆撫でする。

黒崎蓮は救急外来のベンチに座っていた。右脚の傷はすでに処置され包帯が巻かれていたが、そんな皮肉の痛みなど、心臓を引き裂かれるような激痛に比べれば蚊に刺されたようなものだった。

彼は医師が渡そうとした入院指示書を振り払い、傷ついた脚を引きずりながら、迷うことなく病院の出口へと向かった。

「黒崎社長!」神宮寺が慌てて追いかける。「安静になさってください!」

黒崎蓮は聞く耳を持たなかった。

深夜のバー『MUSE』。黒崎蓮は最も静かな個室を陣取り、ウィスキーのボトルを半分まで喉に流し込んでいた。

食道を灼き尽くすような辛辣な液体...

ログインして続きを読む