第144章 新恋人

西園寺麗華は即座に、上品で仕立ての良い高級スーツに着替えると、車を駆って『クロサキ・ホールディングス』の本社へと直行した。

この「サプライズ」を、自らの手で黒崎蓮に届けようというのだ。

しかし、社長室はもぬけの殻だった。

「西園寺様、申し訳ございません。黒崎社長は本日、出社されておりません」

秘書が恭しく答える。

西園寺麗華の胸中に微かな苛立ちが湧き上がったが、彼女はすぐにそれを押し殺した。人のいない片隅へ移動し、神宮寺に電話をかける。

「神宮寺さん? 蓮はどこにいらっしゃるのかしら? どうしても彼に相談したい大事なデザインの件があって……会社にはいらっしゃらないみたいなの」

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