第148章 私も怪我をした

拳圧で頬の皮膚がひりつく。

辺りは死のような静寂に包まれていた。

天宮昴はゆっくりと、まるで時間を巻き戻すかのように一寸ずつ拳を引いた。

昴の強張っていた体が弛緩していくのを感じ、天宮星羅は回していた腕を解くと、今度は彼の腕を掴んで強く引き寄せた。

「昴、大丈夫? 怪我はない?」

彼女は血相を変えて彼の手を調べる。拳の関節が赤く腫れ、皮が剥けているのを見て、内臓が締め付けられるような痛みを覚えた。

「手が……」

黒崎蓮は冷たい床に手をつき、ふらつきながら立ち上がった。

左頬は見る間に腫れ上がり、切れた口端から滲んだ血が、高価なシャツに赤い染みを作っていく。

先ほどの格闘と揉...

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