第164章 彼女が見つからない

夜の帳が完全に山村を飲み込んでいた。

ここには都会のネオンのような煌めきはない。ぽつりぽつりと灯る民家の頼りない明かりだけが、黒いビロードのような大地をささやかに飾っている。

山の夜の訪れは早く、そして静寂に包まれていた。時折聞こえる犬の遠吠えや名もなき虫の音を除けば、物音ひとつしない。

村役場が天宮星羅と小林さんのために用意してくれたのは、粗末な二間だった。

ベッドは硬い板張りで、布団は洗濯こそされているものの、長年染みついた湿気のような匂いがする。

村長がわざわざ二人に湯たんぽを届けに来てくれた。彼は手を擦り合わせながら、申し訳なさそうに言った。

「先生方には不自由をおかけし...

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