第176章 考えすぎないで

天宮星羅の心臓が、ぎゅっと鷲掴みにされたように痛んだ。

まさか、自分を庇ってこれほどの深手を負っていたなんて。

それなのに、さっきの自分ときたら、あんなにも酷い言葉で彼を刺してしまった。

罪悪感と、言葉にし難い酸っぱい感情が、一瞬にして理性を押し流していく。

天宮星羅は下唇を強く噛みしめると、弾かれたように立ち上がり、無言のままドアの方へと歩き出した。

「どこへ行く?」

背後から、黒崎蓮の声が掛かる。

「薬を探してくる」

振り返りもせず短く告げると、彼女は足早に階段を降りていった。

一階では、宿の主人がビールジョッキを抱え、ラジオから流れる台風の不気味な咆哮をBGMに船を漕...

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