第178章 これで貸し借りなしだ

天宮星羅は瞬時に覚醒した。羞恥と怒りが入り混じった感情が、胸の奥から脳天へと突き抜ける。

「離して!」

必死に身をよじって抵抗するが、その細い手首は彼に鉄の万力のように掴まれたままだ。

「私が自分から誘ったって言うの?」

怒りのあまり、彼女は乾いた笑い声を漏らした。

「黒崎蓮、高熱で頭が沸いたの? それとも自分が死にかけてたことすら忘れたわけ?」

「分かってる? 私が、いなかったら、あんたは今ごろ冷たい死体になってたのよ!」

「ほう?」

黒崎蓮は片眉を挑発的に上げ、ゆっくりと彼女の手首を解放した。その視線は、怒りで紅潮した彼女の頬をねっとりと舐めるように彷徨う。

「というこ...

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