第181章 この福がお前にやろうか

携帯電話から聞こえる無機質な話し中の音を聞きながら、天宮星羅は怒りを通り越して乾いた笑いを漏らしそうになった。

台風の目から命からがら生還し、温かいお湯すらまともに飲んでいないというのに、休む間もなく彼のために働けというのか。

星羅はスマートフォンをソファに放り投げ、バスルームへと足を向けた。

……まあいい。

あんな狂人とまともに張り合っていたら、こちらの頭までおかしくなってしまう。

翌朝、九時。天宮星羅は時間通りに黒崎ホールディングス最上階にあるデザイン部の会議室に姿を現した。

彼女が入室した瞬間、さざめき合っていた室内は水を打ったように静まり返る。

全員の視線が、一斉に彼女...

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