第226章 岩美ユナ

黒崎蓮は足を止めたが、振り返ろうとはしなかった。

西園寺麗華はこの最後の好機を逃すまいと、彼が次の瞬間に消えてしまうのを恐れるかのように、早口で言葉を継いだ。

「姉さんのこと……私も詳しくは知らないの」

恐怖と嗚咽で声は途切れがちだったが、彼女は必死に理性を保ち、用意していた筋書きを全て吐き出した。

「あの子が連れ去られた時、相手は部下を寄越しただけで……お母様は死ぬまであの人の名前を口にしなかった。だから、本当の父親が誰なのか、私には本当に分からない……」

「ここ数年、私もこっそり探そうとはしたの。説得して、償いたいと思って……でも、『岩美尤娜』という名前をいくら調べても、該当す...

ログインして続きを読む