第264章 身を囮に、火攻め!

療養院の反対側で、黒崎蓮のインカムに天宮星羅の冷徹で決断に満ちた声が響いた。

「始めて、蓮」

彼は暗がりに身を潜めたまま、微塵の躊躇もなく、あらかじめ設置しておいた小型燃焼装置の起動ボタンを押した。

「ドーンッ!」

鈍い爆発音が夜空を切り裂き、療養院の最も奥まった場所にある廃れた物置から、目も眩むような火柱が突如として立ち上った。

もうもうたる黒煙が天を突く。

物置に積まれていたアルコールやガーゼなどの可燃物が瞬時に引火し、オレンジ色の炎の舌が貪欲に外へと這い出し、壁を舐め、闇を飲み込みながら、わずか数秒のうちに急激に燃え広がっていった。

甲高い火災報知器のサイレンが、療養院の...

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