第265章 制御不能の駒

指揮車内。青白いモニターの光が、天宮星羅の張り詰めた横顔を照らし出している。

画面の中では、一人の隊員が昏睡状態の西園寺麗華を病床から担ぎ上げていた。その動きは無駄がなく、極めて迅速だ。

「星羅、ターゲットを確保した。これよりルート3より撤退する」

インカムから響く天宮昴の声は、落ち着き払って力強い。

「了解」

短く応じた天宮星羅の視線は、突入部隊を示す緑色の光点に釘付けになったままだ。一瞬の油断も許されない。

だが、その撤退の途中で異変は起きた。

部隊が入り組んだ配管エリアに差し掛かった時、頭上で火災の熱に炙られ続けた金属製の支柱が、限界を告げる軋み声を上げたのだ。

ギィィ...

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