第276章 断れない切り札

岩美グループの株価は急転直下し、瞬く間に音を立てて崩壊した。

だが、これはほんの序曲に過ぎない。真の殺し技は、海を越えた商業契約の数々からもたらされた。

かつて鋭く対立していた黒崎蓮と天宮昴。この二人の男は今や阿吽の呼吸で、冷徹かつ極めて効率的に連携していた。彼らは岩美グループの巨大な金融帝国そのものを攻撃しようとはしなかった。それは遅すぎるし、あまりにも察知されやすいからだ。

彼らが選んだのは、釜の底から薪を抜くことだった。

「南アフリカのダイヤモンド原石サプライヤーが、『鉱区の安全評価基準の引き上げ』を理由に、岩美ジュエリーとの今後五年の供給契約を一方的に打ち切った」

暗号化さ...

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