第十章

雪乃は顎をツンと上げ、見下すような視線を紬へと投げかける。その口元には、勝ち誇ったような笑みが浮かんでいた。

紬はキャリーケースの持ち手をぎゅっと握り締め、目を細めて淡々と言い放つ。

「ここは私の部屋よ」

「そうなの? 蓮が用意してくれた部屋だから、私、何も知らなくて」

雪乃はわざとらしく小首を傾げ、悪びれる様子もない。もちろん、部屋を譲る気などさらさらないのだろう。

紬が鼻で笑い、口を開きかけたそのとき。隣の部屋から蓮が姿を現し、事もなげに言った。

「雪乃も息抜きしたいって言うから連れてきた。ここ二日、気が立ってるみたいだから、俺の隣にしたんだ」

「お前はこっちに入れ」

蓮...

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