第43章

午後、佐藤秘書が彼女のデスクを通りかかり、少し躊躇った様子を見せたが、顔を寄せて小声で尋ねてきた。

「白石秘書、一ノ瀬社長に送ったあのメールなんだけど……」

紬は眉をひそめた。

「どうかしましたか」

「い、いや、何でもないよ」

佐藤秘書は彼女の視線に少し気圧されたのか、愛想笑いを浮かべて手を振った。

「ただ、今日の一ノ瀬社長、すごく機嫌が悪そうだからさ」

紬は手元の資料に視線を戻す。

「ええ、わかりました」

機嫌が悪いからといって、それが何だというのだろう。

機嫌が良いときだって、彼が優しくしてくれたことなど一度もないのだから。

それからの数日間、蓮は朝早く家を出て、夜...

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