第11章 残された人

神恩者の試験当日、小沢かなはいつもより早く目を覚ました。

首もとの細い紐をほどき、珠と白い羽根をいったん掌に落とす。それを今度は手首へ巻き直した。腕を上げれば珠は紐に沿ってするりと指の中へ滑り込み、袖口を落とせばまた、簡単に隠せる。

――まだ、ひとつ足りない。

彼女はエステルの宝石箱を開け、指輪や花飾りの間から銀の十字架のペンダントを探し当てた。ずしりとした重み。下端が細く長く、握り込んでも指のあいだに少しだけ銀が覗く。

吸血鬼は銀を嫌い、十字架を恐れる――そんな話が、この世界でどれほど通じるのかはわからない。

それでも、もう片方の手が空っぽよりはいい。

親指で握りの感触を確かめ...

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