第14章 家を出た後

車内で、セシリーは膝を抱えたまま、小沢かなをじっと見つめ続けていた。

「エステルお姉さま……わたし、羨ましいです」

小沢かなは揺れで鳥籠が壁に当たらないよう、少し内側へ寄せる。

「何が?」

「みんなお姉さまが好き。使用人たちも、グラント夫人も……」セシリーは俯き、声を落とした。「神さまも。神さままで、お姉さまを愛しています」

袖口はまだ濡れていて、腕に貼りつく。ひんやりとした冷たさ。

小沢かなは答えなかった。

水晶球の前で掌を裂いたとき、神に愛されているなんて欠片も思わなかった。羨ましがられる立場は、自分で必死に積み上げたものだ。その土台には闇の生き物の牙が隠れている。蓋をして...

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