第35章

レインは瞬きひとつせずに見つめ、差し出された杯を受け取った。

「一杯」

彼は顎を上げ、一息に飲み干す。

甘く熟れた血が喉奥でぱっと弾け、絹のように滑って落ちていく。四肢の隅々まで熱が走り、レインは目を細めて琺瑯のカップを返した。

「もう一杯」

「二杯目」

傷口はもう、まともに血を吐かなかった。小沢かなは無表情のまま、さらに刃を入れる。

「三杯目」

「四杯目」

「五杯目」

「六杯目」

裂けた傷が、また裂かれる。

レインは壁に背を預けた。

言葉にできない快感が、じわじわと骨の髄まで染み込んでくる。セシリーと交わるよりも、ずっと、ずっと気持ちいい。ふと惜しくなる。いずれ自...

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