第36章 あら探し

セシリーは、はっと目を見開いた。

黒い影が濃霧のように彼女を覆っている。反射的に口を開きかけ、相手が誰か悟った瞬間、息を呑んで閉じた。

「……レイン様?」

声を潜めて問い、そっと見上げる。

同室の少女たちは、寝息ひとつ立てずに眠り続けていた。

闇の中で、レインの端正で高貴な顔立ちがゆっくりと浮かび上がる。いつものマントは羽織っていない。顔色は紙のように白く、眼差しは冷えきっていた。

「レイン様、どうしてこんな時間に……」

胸の鼓動が暴れていたのに、セシリーは安堵の息を吐く。少しずつ、落ち着いていく。

「しっ……喋るな、セシリー」

レインは指を立て、細い人差し指で彼女の唇をそ...

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