第47章

「――へえ? グラントさんは、何と交換したい?」

「わたしが勝ったら、幻惑術の術式を教えて。わたしが負けたら、図書館の3階から本を1冊選んでいいよ。代わりにわたしが持ち出すわ」

小沢かなは、「暇つぶし」なんて戯れ言を信じなかった。

レインが急に鍵を欲しがったのは、図書館3階の下に通じるあの通路か、あるいは奥に眠る秘蔵の典籍が目当てに決まっている。

「それは少し不公平だね。幻惑術を使えるのは、この世で私ひとりだから」

「嫌なら、いいわ」

小沢かなが踵を返した、その腕を掴まれた。

「いい。成立だ」

レインがふっと笑い、ひらりと一歩退いたかと思うと、濃霧の中へ溶けるように消える。

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