第48章

彼が言い終えるのとほとんど同時に、少女の涙がぽろりと落ちた。

「ノア……」

「……つらいの」

酒の匂いが全身にまとわりつき、頬を伝う涙の筋が、彼女をひどく哀れに見せた。

「どうして……どうしてわたしの妹と踊ったの? ああ、胸が……」胸元を押さえ、声を震わせる。「砕けちゃう……ノア、どうしてそんなに残酷なの……」

寮監がそれを聞きつけ、清雅な少年へ咎めるような視線を向けた。

「ボルトさん。女の子を二人も同時に泣かせるなんて、感心しませんよ」

風に乗った強い酒気が、木陰の空気をむっと熱く染め上げる。

ノアは眉をわずかに寄せた。

「エステル。酒を飲んだな」

「ええ、飲んだわ」

...

ログインして続きを読む