第49章

セシリーは彼女を見つめたまま、唇を震わせる。

「エステルお姉さま……」

「お姉さま、なんて呼ばないで」

少女は氷みたいな声を落とし、そのまま歩き去ろうとした。

セシリーの目元が、みるみる赤くなる。

「わ、わたし、わざとじゃ……」

「いいえ。わざとよ」

少女は足を止め、振り返らずに言い切った。

「わたしがどれだけ彼を愛してるか、あなたは知ってる。世界中の誰が彼を誘ってもいい。でも、あなただけは駄目。セシリー」

「どうして……?」

「わかってるでしょう」

たった一度、横目で刺すように見てから、少女はまた歩き出す。

セシリーはその冷たさに縫い止められたみたいに、呆然と立ち尽...

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