第67章

少女の頬には、鮮やかな染料で一角の黒牛が描かれていた。彼女が舞うたび、そこにはどこか秘めやかで原初的な律動が宿り、客席の篝火のごうごうとした炎と相まって、空間そのものをざわつくような、甘く曖昧な熱で染め上げていく。

「祈りの舞よ」

案内役の少女が羨望を滲ませ、高台を見上げた。

「ナーリ、ほんとに上手」

「祈りの舞?」

「ええ。来年の豊作を願って、天の神々の加護を願って……それから――」

言葉を、別の誰かがさらりと継いだ。

「今夜が明けたあと、子どもが授かるようにって」

背後から、レインが歩み寄ってきた。

低い声。生まれつきの貴族が持つ傲慢さを、そのまま形にしたような眼差し。...

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