第89章

「ドン——」

「ドン——」

「ドン——」

重たい足音が、ひとつ、またひとつ。まるで心臓の真上を踏みつけられているみたいだった。

小沢かなにはわかる。いまのセロスは、もう猫と鼠の追いかけっこなんてしてくれない。見つけた瞬間に引きずり出し、「ガリガリ」と頭を噛み砕いて、そのまま食いちぎる。

「僕はここに残る」ノアが言った。「外に出られない」

「……だめ。そんなの、できない」

小沢かなは首を振った。

そうだ。彼をここへ引きずり込んだのは自分だ。悪い企みはいくつもあった。でも、その前提として——

彼の命を奪うつもりなんて、一度もなかった。

責任を取らなきゃ。

計画どおりなら……...

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