第90章

小沢かなはそう思いながらも、身体で子羊をぎゅっと庇った。蜥蜴の爪が持ち上がり、そして――振り下ろされる。

フローヴァ教授とハワード教授は互いに支え合って、ようやく立っていた。目を開けたときには、か弱い少女の姿はもうない。押し寄せる黒に呑まれたみたいに消え、見えるのは、ほんのわずかな濃紺の裾と、金色の髪の一房だけ。

その濃紺の上に、巨大な蜥蜴の爪が――ぐり、と。

ぞくりと歯の根が合わなくなるような、骨の砕ける音が響いた。

「グラントさん?!」

フローヴァ教授は顔色を失い、ハワード教授でさえ耐えきれずに目を閉じる。

ただ一人、ノラン様だけが冷たい機械のように杖を振るった。白い光が網の...

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