第96章

彼らが放った光明弾と、ノアが放った灰色の球体が空中でぶつかった瞬間――信じがたい光景が起きた。

花火みたいに弾けるはずの灰色の球体が、ぐにゃり、と蠢いたのだ。白い光明弾を包み込み、そのまま飲み込む。……そして、ひと回り大きくなった。

教導の神使も、動きを止めた。

全員が顔を上げ、息を殺して天井近くの空を見つめる。

灰色の球体は怪物みたいに、疲れを知らず光の球を追い回した。ひとつ、またひとつと包み、呑み、最後の光が消えた頃には、灰色の靄が天井一面を覆い尽くしかけていた。

小沢かなも、その「本には存在しないもの」を見上げたまま、思考が追いつかない。

――これは、何?

――どうして、...

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