第105章 調査

須藤彩夏は紙を手に取り、ざっと目を走らせた。読むほどに、胸の奥の引っかかりは強くなる。

普通、オーダージュエリーの依頼客というものは、はっきりした好みがあるか、予算感があるか、少なくとも理想のイメージくらいは持ってくるものだ。

けれど、この鈴木綾乃という女は違った。口にするのはふわりとした言葉ばかり。肝心なことは何ひとつ示さず、まるで最初から主導権をすべて彼女に押しつけるつもりで来たかのようだった。

「鈴木さん、ご主人のお好みや、ご予算、それからお作りするジュエリーの種類も確認したいんです。ネックレスなのか、カフリンクスなのか、ブローチなのか――そのあたりが分かれば、もっと的確にデザイ...

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