第114章 なぜ菅野詩音を助けるのか

神谷承吾があれだけ大恥をかかされたのだ。あの性格で、黙って引き下がるはずがない。

その日の午後、須藤彩夏は藤原征士とともに郊外の宝石原料倉庫へ向かうことになっていた。清水智慧のためにデザインするハイジュエリー、その主石を選ぶためだ。

藤原ビルの正面玄関を出た瞬間、藤原征士の車がすでに入口前に停まっているのが目に入った。

須藤彩夏はふっと足を止める。

その目の奥を、ひやりとした冷気がかすめた。

ドアを開けて助手席に乗り込むと、藤原征士が彼女の顔色を見て口を開く。

「どうした」

「藤原社長、誰かに後をつけられてるって気づいてますか」

声を落としながら、須藤彩夏は窓の外に停まる黒い...

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