第16章 お母さん助けて

菅野詩音はみるみる目元を赤くし、うつむいた。声には悔しさが滲む。

「承吾……もう聞かないで……私が悪かったの……」

「ただ、彩夏さんのことが少し心配で、顔を見に行っただけなのに……そしたら……急に取り乱したみたいに私を掴んできて、『殺してやる』って……怖くて……」

詩音は神谷承吾の手を握り返した。

「承吾、私はどうなってもいい。でも……彩夏さん、承吾のことまで傷つけるかもしれないって思うと……」

言わなければまだよかった。

その一言で、ようやく鎮まりかけていた神谷承吾の怒りが、再び火を噴いた。

神谷彩夏は、あれだけ痛い目に遭ったのだから少しは変わると思っていた。

ところが、結...

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