第23章 彼女に謝れ!

「離して!」

神谷彩夏は、本当なら関わるつもりはなかった。あの子は自分の子じゃない。そもそも自分とは何の関係もない――そう分かっているのに、あの小さな姿を見た瞬間、胸の奥が言葉にできないほどきゅっと痛んだ。

起き上がって菅野詩音を止めようと身をよじる。だが弱り切った身体は言うことを聞かず、激しい咳が込み上げ、目の前がぐらりと揺れた。

菅野詩音が振り下ろしかけた手が、ぴたりと止まる。ようやく神谷彩夏へ視線を向けると、その顔には嘲りがべったり張りついていた。

「へぇ、神谷夫人ってそんなに優しいの?」

菅野詩音は腕を組んで、くつくつ笑う。

「自分が半分死にかけてるくせに、他人の世話を焼...

ログインして続きを読む