第48章 夢を見る

だが、神谷彩夏はただ彼女を見つめ返すだけだった。静かすぎる目。妙に、落ち着き払っていて――それがいっそう不気味だった。

菅野詩音がまくし立てるのに疲れ、肩で息をして言葉を切った、その瞬間。

神谷彩夏はゆっくりと瞬きをし、菅野詩音の肩越しに視線を滑らせた。彼女の背後――何もないはずの空間へ。

そして、夢うつつの囁きみたいな声音で、そっと言った。

「……いるよ。あなたの後ろに」

ふわりと浮くような声に、菅野詩音はびくりとして、反射的に振り返る。――何もない。

「何が後ろよ。あんた、頭おかしいんじゃない?!」

神谷彩夏の視線は、なおも背後に縫いつけられたまま。もう一度、同じ温度で言葉...

ログインして続きを読む