第51章 遅れてきた深い愛

神谷承吾はよろめきながら神谷彩夏へ飛びつき、膝をついて彼女の傍らへ崩れ落ちた。震える手で傷に触れようとして――けれど、触れていいのか分からず、指が宙で止まる。

首筋に走る裂け目は、まだ血を吐いていた。もう、ほとんど流れ切っている。

「……彩夏」

目の前の光景を、信じられない。頭の中が真っ白になり、耳の奥で甲高い幻聴が鳴った。

息を大きく吸っても、吸えない。胸の内の空気が固まり、喉を塞いでしまったみたいだった。

「彩夏……」

傷口を押さえようと手を伸ばす。だが、冷えた皮膚に指先が触れた瞬間、感電したみたいに引っ込めた。

冷たすぎる。こんな冷たさであるはずがない。

神谷承吾は慌て...

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