第53章 真の顔

「何してるの?」

彼女も上から飛び降り、泥だらけの彼のそばへ転がり込む。両手で肩を強く掴み、喉が裂けるほどの声で叫んだ。

「承吾、どうしてこんなことになってるの……? 言ったじゃない、身体がよくなったらクルーズ船に乗せてくれて、南極に連れてってくれるって!」

「どうしてよ……彩夏さんが死んだくらいで、こんなふうに自分を痛めつけるの? いちばん憎んでたのは、あなたでしょう?」

最後は、ほとんど絶叫だった。

神谷承吾は彼女を無視した。視線すら向けない。

ただ、泥にまみれたネックレスを掌の奥で大事そうに握り込み、膝に手をついて、ゆっくりと立ち上がった。

泥の中を探し続けた時間が長すぎ...

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