第54章 私の清美と彩夏はどこだ?

鳴瀬正樹が入ってきたとき、神谷承吾はまだ、さっきの姿勢のままだった。

薄手の服のままでは、あと少しここにいたら凍え死んでもおかしくない。

だから鳴瀬正樹は、厚手の綿入りコートを抱えてきていた。

神谷承吾はそれを羽織っても、視線だけは神谷彩夏から離れない。淡々と問う。

「……用件は?」

鳴瀬正樹は氷のベッドの傍へ歩み寄り、眠るように静かな神谷彩夏の顔を見つめる。少しの沈黙のあと、ようやく口を開いた。

「ずっと考えてた。……やっぱり、君に話しておくべきだと思うことがある」

神谷承吾は答えない。

鳴瀬正樹は彼を見て、小さく息を吐いた。

かつて傲然と世界を踏みつけていた男が、いまは...

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