第55章 復讐

神谷承吾には、自分がどうやって病室を出たのかも分からなかった。

廊下の照明はやけに白く、顔色から血の気を奪っていく。鳴瀬正樹と小嶋健が追いすがって背中に向かって叫んでいたはずなのに、耳には一つも届かなかった。

頭の中にあるのは、さっき母が吐き捨てた言葉だけだ。何度も、何度も反響する。

「菅野詩音って子、本当に許せない!」

「二人で言い争って、刃物まで出して……」

「うちの彩夏は、きっとあの子に切られたのよ」

――つまり、母を刺したのは神谷彩夏じゃない。菅野詩音だ。

最初から最後まで、菅野詩音だった。彩夏の言ったことは全部、本当だったのに。なのに自分は信じなかった。たった一度でも...

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