第72章 彼を使って俺を怒らせたいのか

宴のあいだじゅう、神谷承吾は須藤彩夏の姿を見つけられなかった。

ようやく彼女を見つけたのは、ダンスパーティーも終わり、招待客たちが挨拶を済ませて帰り始めたころだった。しかも、自分の母の傍らで、何事もなかったかのように立っていた。

彩夏に聞きたいことなら、山ほどあった。

だが今は客を見送る最中だ。さっきの一件でもう充分みっともない姿は晒した。あれだけの騒ぎを起こした以上、自分が何をしたのかは皆が知っている。これ以上、恥の上塗りだけはしたくなかった。

四方から向けられる値踏みするような視線が、背中に針のように刺さる。

その中で、承吾は横目で彩夏を見た。にこやかに客を見送るその横顔は穏や...

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