第68章 江口姫希への報復

ほどなくして、舞台の照明がふたたび灯った。

月光を糸にして織り上げたみたいな銀白のスポットが、江口初姫の上にふわりと降り注ぐ。控えめな白いワンピースが淡く艶めき、次の瞬間にはそのまま月の光になって、すっと踊り出しそうだった。

思わず、どよめきが漏れる。

――が、江口初姫が両手をピアノに置いた瞬間、客たちは「そういえば今はそういう場だ」と思い出したように口元を歪めた。

鼻で笑う者。薄く唇を引く者。

江口初姫が恥をかく――もうそれを疑っていない目。

白石嬢は音楽一家の出で、3歳の頃からピアノに触れ、受賞歴は数知れず。複数の国際的ピアニストに師事したとも聞く。

対して江口初姫は、ほと...

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