第10章

私は一歩、また一歩と、そのボックス席へ近づいた。

原崎野矢は何かを察したのか、さっきまでダンスフロアに視線を向けていたのに、ふいにこちらへ振り返る。

目が合う。

私は、彼の瞳の底へ落ちた。

ライトの下でも、原崎野矢の目からは感情が読み取れない。

……なのに、彼が平然としているほど、こっちの心臓はうるさくなる。

ボックス席の連中はさっきまで盛り上がっていた。私が姿を見せた途端、空気がすっぱり切れたみたいに止まる。

何本もの視線が、一斉に私へ突き刺さる。驚きと、値踏みと――露骨な警戒。

好意的じゃないのは、肌で分かった。

当然だ。

私と原崎野矢のことは、この界隈じゃ隠しようも...

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