第11章

林原武美の詰問は聞き流し、私はまっすぐ広瀬正国の前へ歩み寄った。

広瀬正国はこめかみを押さえるように揉んでいる。母娘が小細工を仕掛けてくるのが、よほど気に入らないらしい。

私はできるだけ真っすぐな声で言った。

「お父さん。こういう時こそ、原崎野矢さんに会いに行かせてください」

その言葉に興味を引かれたのか、彼は顔を上げる。

「どういうことだ」

私は小さく息を吐いた。

「前に田村成川のことで、私、彼をきつく突き放しましたよね。ずっと怒ってるはずです。……ちゃんと謝りたいんです。田村成川みたいなクズのために、原崎野矢さんに敵を作るなんて、割に合いません」

案の定、広瀬正国の表情は...

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