第12章

広瀬有香が洗面を終えて寝室から出てきたとき、頬は真っ赤だった。擦りすぎて、肌に生々しい跡が残っている。

私は彼女に構う気も起きず、そのまま会社へ向かった。溜まっている仕事の処理と、発表会の準備を進めるためだ。

オフィスで席に着いて間もなく、人事部が二十歳そこそこに見える女の子を連れて入ってきた。

甘い雰囲気の顔立ちで、無害そう。警戒心をほどきやすいタイプ。

私は顎を軽く上げた。

「こちらは?」

「広瀬部長、新しくお付けするアシスタントの周防治希です。プロジェクト部で数日間インターンをしておりましたが、評価も良好でした。今後は彼女が部長の業務をサポートします」

紹介が終わるなり、...

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