第21章

私は思わず固まって顔を上げた。入口から、原崎野矢が数人に囲まれて入ってくるのが見えた。

スーツ姿の彼は人混みの中でもどこか遠く、冷ややかで、現れた瞬間に会場の視線をさらっていく。

挨拶に行こうと一歩踏み出しかけた、その時。

すぐ横を、影がすっと横切った。

広瀬有香が、仕立てのいいドレスに身を包み、艶やかに腰をくねらせながら真っ先に彼のもとへ駆け寄っていく。

「原崎様! 本日はお越しいただき、本当にありがとうございます。うちの発表会が一気に華やかになりましたぁ」

甘ったるい声でそう言うと、何かを思い出したように身を翻し、今度は私を指さした。

「……あっ、すみません。本来なら姉が原...

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