第30章

「広瀬さん、初めまして。自己紹介させてください。金原亜沙美です。原崎野矢お兄さんの……友人です」

金原亜沙美は私を見るなり、驚いた様子ひとつ見せず、流れるように名乗った。笑顔は終始まぶしいほどで、まるで最初から私に会いに来たみたいだった。

彼女の手には、上品な紙袋。予約が取りづらいことで有名な、あの会員制の店のロゴが印字されている。

「どうも、金原さん」

身体をずらして中へ通し、できるだけ平静を装う。

「今日は、何かご用ですか?」

金原亜沙美はリビングへ入り、

「原崎野矢お兄さんから聞きました。ここで少し身を隠してるって。それに、まだ食事もしてないって」

そう言いながら、紙袋...

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