第40章

広瀬妃菜視点

夜のいつからか、風が立っていた。

手のひらに薬を塗っても、じんじん灼けるように痛む。だけど、原崎野矢が私の言葉を信じてくれなかった――胸の奥を締めつけるあの苦しさに比べれば、こんなの痛みのうちにも入らない。

彼は、私がプロジェクトのためなら平気で自分を利用し、捨てる人間だと決めつけている。

そんな誤解、理由もなく生まれるはずがない。

お爺さんの手腕なら、証拠の筋書きくらい本物そっくりに仕立ててみせるだろう。協議書の署名だって、私の筆跡に寄せて真似たに違いない。

それどころか、執事が私のところへ来る前から、私が折れないことを読んでいて――最初から二段構えで準備していた...

ログインして続きを読む