第64章
会場じゅうに、私の突き放すような声だけがいつまでも残っていた。
招かれた客たちは一斉に黙り込み、さっきの拒絶がいっそう場違いに際立つ。
田村成川は、あの大きなダイヤの指輪をなおも掲げたまま。瞳の奥には、わざとらしいほどの情が満ちている。
彼はわずかに顎を上げ、震える声で言った。
「妃菜……今ここに来たのは、無礼だって分かってる。空気も読めてない。だって俺たち、もう何の関係もないんだから」
私は腕を組み、氷みたいに言い放つ。
「関係ないって分かってるなら、それで十分。今すぐ出ていって」
田村成川は聞こえないふりをして、勝手に続けた。
「本当は、許してほしいなんて言える立場じゃな...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 第31章
32. 第32章
33. 第33章
34. 第34章
35. 第35章
36. 第36章
37. 第37章
38. 第38章
39. 第39章
40. 第40章
41. 第41章
42. 第42章
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
61. 第61章
62. 第62章
63. 第63章
64. 第64章
65. 第65章
66. 第66章
縮小
拡大
