第9章

田村のお父さんは田村成川をきつく睨みつけると、乱暴に手を払ってその場を出ていった。

田村成川は私のほうをちらりと見て、気まずそうに縮こまりながら慌てて追いかける。

リビングは、しん……と音を失った。

広瀬有香は林原武美の胸に縋りつき、嗚咽を押し殺すように泣いている。肩が小刻みに震えていて、いかにも可哀想に見える。

私は伏し目のまま、見えていないふりをした。胸の内は、冷えきっている。

泣けばいい。騒げばいい。

こんなの、まだ序の口だ。

一度で全員を叩き潰せるなんて最初から思ってない。時間なら、いくらでもある。

田村成川との婚約をきっちり解消して、あのクズ男から離れられればまずは...

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