第6章

凛の目が細くなった。

 

「今夜の合作は、結城財団にとって重要だ」

 

微かに身を傾け、彼女だけに届く声で続けた。

 

「お前がそれをまとめろ」

 

「そうすれば、諒と陽太に会わせてやる」

 

テラスが静まり返った。

 

意味は分かった。「まとめろ」——交渉でも専門的な支援でもない。あの部屋へ入り、政財界の男たちの中に自分の顔と存在を差し出して、今夜の酒席を成立させろということだ。

 

屈辱を、条件という形に包み直しただけだった。

 

凛は目を閉じた。

 

再び開いたとき、瞳の底には死んだ水のような静けさだけが残っていた。

 

「わかった」

 

個室の空気は重く、沈んでいた。

 

革張りのソフ...

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