第106話他の誰かを見つけよう

   ~ヘルメス~

 彼女が、私たちは仕事として割り切るべきだなんて本気で望んでいると、そんなふうに信じるほど俺は愚かじゃない。ちっ。ここまで俺に執着しているなら、厄介なことになる。

 ああ――結構だ。今度は俺のほうが、どうやって彼女を遠ざけるかなんて考えて、ここに座っている。

 この俺が。満足するまでは、条件なんて何もつけずに、彼女がくれるものは何でも受け取ると誓っていた、その俺が。

 もし数か月前、こんな……何だかよくわからない感情を抱くのはお前のほうだと言われていたら、俺は相手の顔を見て笑い飛ばし、そのまま背を向けていただろう。だが現実には、膝の上で指先をとんとんと鳴らし、飾り気...

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