第151話クビだ

ジューン

気がつけば、私たちはグランデ邸の正面に立っていた。

ナタリアに連れて来いと命じられた面々は、車を降りた途端、今にも溶けてしまいそうなほど浮き立っていた。

「うそでしょ、これ本物?」

「まるで宮殿じゃない」

「こんなところに住む人がいるの!?」

彼らの声が空気の中でぶつかり合う。明るくて、弾んでいて、興奮に満ちている。

その言葉は全部耳に入ってくるのに、ひとつとして胸には届かなかった。私の頭は、まったく別の場所にあったからだ。

どうやってエルメスに、自分が妊娠しているかもしれないと伝えればいいのか――そのことばかり考えていた。

まだ検査すらしていない。身体が絶えずささや...

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