第172章あなたはしたいですか?

ジューン

「えっと――どこかへ連れて行きたいって言ってたよな」タクシーを降りると、ヘルメスが言った。

「うん」

私はうなずいたが、彼をほとんど見ようともしなかった。視線は、テッドにもらった小さなメモに釘づけだ。まるで聖典か何かみたいに。

「まあ、ホテルじゃないといいけどな。だって、どう見てもホテルの建物の前だし」

彼は腕を組み、それが自分に直接無礼でも働いたかのような顔で建物を見上げた。

私は顔を上げた。

「ここよ。あなたを連れて来た場所は。ここに、あなたのやり残したことがあったから……」

声がしぼんでいく。もう、この段階でまともな嘘すら思いつかない。あとは、この混沌をそのまま受け入れ...

ログインして続きを読む