第187話いつも彼女

~エルメス~

手紙の上に置いた指先が震え、息が喉の奥で引っかかる。こんなの、冗談であるはずだ。何かの間違いだ。たちの悪いいたずらに決まっている。

ジューンが僕を置いていくはずがない。

僕たちは誓いを交わした。約束した――

固く唾をのみ込み、父を見上げる。ルシアン・グランデは昔から嘘をつくのがうまくなかった。顔にすべて出る人だった。なのに今は……信じられないほど落ち着き払っている。

「父さん」静かに僕は言う。「どうして彼女は出ていったんだ?」

父はベッド脇の椅子に腰を下ろし、両手を組んだ。「彼女はしばらくここにいたが――」

「待って」僕は指を上げて、その言葉を遮る。胸がきゅっと締めつ...

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