第209話すべてを自分に

カイン(トビト)

彼女は、まるで何日も食べ物を口にしていなかったみたいに食べていた。

フォークはせわしなく動き、息をつく間もほとんどない。それでも数秒おきに視線だけは俺へ跳ね上がり、俺が何か馬鹿な真似でもしやしないかと警戒しているようだった。配達の袋はまだカウンターの上に置かれたままで、空っぽの冷蔵庫なんて馬鹿げた現実のあと、この狭いアパートには久しぶりにまともな食べ物の匂いが満ちていた。

俺は腕を組み、カウンターにもたれながら、彼女を見ていた。まるで名前のつけようがない何かでも眺めるみたいに。

彼女は本当に、俺と一緒に来ることに同意した。

どうしてそうなったのか、今でもわからない。

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